英文名 | Ichthyology | |
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科目概要 | 海洋生命科学科2年前期(前半) [(15コマ)]、2群科目、必修、講義、2単位(30時間) | |
必要授業 時間外学習 | 60時間 | |
担当者 | ●朝日田 卓※(環境生物学 魚類生態学) asahida@kitasato-u.ac.jp |
教員名 | 内容 |
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朝日田 卓 | 魚類資源調査や生態系調査、種苗生産現場における経験等を通じて得た魚類の生態や多様性、繁殖戦略等の情報および各種分析法(測定法や鱗や耳石等の分析法など)を、例示しながら解説している。またその際に、学生が実感できるように実際の映像や標本等を用いている。 |
教職課程 | ◯ | 教科及び教科の指導法に関する科目/大学が独自に設定する科目 |
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学芸員養成課程 | ◯ | 本学が指定する授業科目 |
食品衛生管理者・監視員任用資格 | ||
自然再生士補資格 | ◯ | 必修科目 |
数億年の歴史とおよそ3万にも及ぶ種数をほこる魚類は、水圏生態系の主要な構成員であり、その分布も浅海域や外洋はもちろん、海抜3000m以上の高地にある水域から水深8000mを超える深海までと極めて広い。この多様性を持つ魚類を学ぶことは、生物が持つ普遍性と多様性の意義を理解することに繋がる。本講義では、多様な魚類の特徴や生態を解説すると共に、観察や測定法を理解させ種同定の方略を身に付けさせる。また、水圏生態系における魚類の位置づけや脊椎動物としての系統的位置づけを理解させ、生物種間の相互関連とヒトも含めた脊椎動物進化の歴史について考察させる。さらに、環境との関わりや人間活動が魚類や生態系に及ぼす影響、およびこれからの人類のあり方についても考察させる。
◯ A: 多面的思考能力 | ◎ B: 自然科学の基礎知識・理解 | ◯ C: 専門分野の知識・技術 | D: 問題解決能力 |
E: 実務能力 | F: コミュニケーション能力 | ◯ G: 技術者倫理 | H: 継続的学習能力 |
授業の項目と内容は以下に示す通りである。
1.総説(魚類の世界):魚類のグループ分け、種数や分布、生態系における位置づけや人類との関わり等
2.生物多様性:生物多様性とその意義および魚類における多様性
3.種の概念と分類学:形態学的種概念と生物学的種概念。分類学の成り立ちと分類法(学名、二名法およびリンネ式階層分類体系)
4.魚体の構造:体形と体の区分および各部の構造と機能
5.魚体の観察と測定:魚類外部形態の観察法と計数・計測形質の測定法、および分類基準
6.繁殖と発達:卵および仔稚魚の分類、卵発生と孵化、成長と繁殖および変態
7.魚類進化と分類体系:魚類進化の歴史と分類体系の変遷
8.魚類学各論(主要魚類の特徴や生態、系統類縁関係、人との関わり)
1)ヌタウナギ綱、ヤツメウナギ綱、軟骨魚綱
2)肉鰭綱(総鰭類、肺魚類)
3)条鰭綱(腕鰭類、軟質類、全骨類)
4)条鰭綱(真骨類(カライワシ団、アロワナ団、ニシン・骨鰾団)
5)条鰭綱(真骨類(正真骨団)および真骨類における特殊化)
9.魚類生態と環境
1)魚類生態と環境との関わり、生態系における魚類の役割
2)魚類資源の持続的利用と環境保全および人類のあり方
10.達成度確認:試験問題の解説と復習
授業は講義と質疑応答により進める。なお、小テストは7回目(内容:分類体系と学名、種の概念、計数・計測形質等)と14回目(内容:魚類各群の特徴、魚類進化の歴史と特殊化等)に行う予定である。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 値段(円) |
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教科書 | 魚類学 | 矢部衛・桑村哲生・都木靖彰 | 恒星社厚生閣 | 4,500 |
参考書 | 生物の種多様性 | 岩槻邦男・馬渡峻輔 | 裳華房 | 4,500 |
参考書 | 小学館の図鑑 NEO POCKET 魚 | 井田 齊 他 | 小学館 | 950 |
参考書 | 小学館の図鑑 NEO 新版 魚 | 井田 齊 他 | 小学館 | 2,000 |
内容 | 学習・教育目標との対応 |
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1. 生物多様性の意義と生態系における魚類の位置づけについて説明できる。 | 目標BCG |
2. 魚体の主な構造や特徴および観察と測定法を理解し、種同定の方略を述べることができる。 | 目標BC |
3. 主要魚類の特徴や生態、系統類縁関係を説明できる。 | 目標C |
4. 環境と魚類生態の関わりを理解し、人為的環境改変が魚類に及ぼす影響の概説と人類のあり方についての考察ができる。 | 目標ACG |
定期試験 [80%]
小テスト(2回実施予定) [20%]評価基準: 到達目標への到達度を上記により評価
フィードバックの方法: 小テストでは、終了後ただちに模範解答を示して解説を行う。定期試験は、返却時に模範解答を示して解説を行い、間違いやすい点などを具体的に示す。
担当者が撮影した水中写真やVTRをはじめとした様々な映像や、標本等を用いて講義を進める予定です。
適宜参考になる図書を紹介します。また参考書や図鑑類は学習に役立ちますので、準備することをすすめます。
オフィスアワーは特に設けませんが、質問等があれば随時受け付けます。
講義内容に関するハンドアウトを学習支援システム(Moodleなど)に掲出します。
回 | 実施項目 | 学習内容と学習課題 | 担当者 |
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第1回 | 総説(魚類の世界) | 魚類のグループ分け(綱レベル)、魚類の種数(世界および日本等)、分布と生息域、生態系における位置づけ、人類との関わり 【予習】 教科書(p.1-2, 199-208, 274-281, 300-310他)を精読 【復習】 講義ノートと教科書を用いた復習と関連参考書の精読 | 朝日田 卓 |
第2回 | 生物多様性 | 生物の多様性とその意義、普遍性と多様性の対比、各種多様度、魚類における多様性とその意義(種存続機構としての多様性など) 【予習】 教科書(P.282-292他)および参考書類の精読 【復習】 講義ノート等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第3回 | 種の概念と分類学 | 形態学的種概念(Morphological species concept)と生物学的種概念(Biological species concept) 分類学の成り立ちと分類法(国際動物命名規約、学名、二名法、リンネ式階層分類体系) 【予習】 参考書類の精読 【復習】 講義ノートおよび参考書を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第4回 | 魚体の構造 | 体形(紡錘形、側扁形、縦扁形、ウナギ形、フグ形、その他)と体の区分(頭部、体幹部、尾部、鰭) 各部の構造と機能 【予習】 教科書(p.3-24, 34-62, 132-153他)を精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第5回 | 魚体の観察と測定 | 魚類外部形態の特徴と観察法 計数形質(鰭条数、側線鱗数、鰓耙数、横列鱗数など)と鰭式 計測形質(全長、尾叉長、標準体長、頭長、吻長、眼計など) 分類の基準となる形質 【予習】 教科書(p.10-24他)の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第6回 | 繁殖と発達 | 卵の分類 発達段階の区分と仔稚魚の定義 成長と繁殖 変態 【予習】 教科書(p.155-198, 220-236他)の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第7回 | 魚類進化と分類体系 小テスト1回目(学名、二名法、リンネ式分類体系、鰭式など) | 魚類進化の歴史と分類体系の変遷 【予習】 教科書(p.300-370他)および参考書類の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第8回 | 魚類学各論 1)ヌタウナギ綱、ヤツメウナギ綱、軟骨魚綱 | ヌタウナギ綱、ヤツメウナギ綱、軟骨魚綱(サメ、エイ、ギンザメ類)の構成種とその特徴および系統類縁関係 【予習】 教科書(p.311-324他)の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第9回 | 魚類学各論 2)肉鰭綱(総鰭類、肺魚類) | 肉鰭綱(総鰭類(シーラカンス類)、肺魚類)の構成種とその特徴および系統類縁関係 【予習】 教科書(p.325-327他)の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第10回 | 魚類学各論 3)条鰭綱(腕鰭類、軟質類、全骨類) | 条鰭綱(腕鰭類、軟質類、全骨類)の構成種と特徴および系統類縁関係 【予習】 教科書(p.327-331他)の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第11回 | 魚類学各論 4)条鰭綱(真骨類(カライワシ団、アロワナ団、ニシン・骨鰾団)) | 条鰭綱(真骨類(カライワシ団、アロワナ団、ニシン・骨鰾団))の構成種とその特徴および系統類縁関係 【予習】 教科書(p.332-337他)の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第12回 | 魚類学各論 5)条鰭綱(真骨類(正真骨団)) | 条鰭綱(真骨類(正真骨団))の構成種とその特徴および系統類縁関係 【予習】 教科書(p.337-363他)の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第13回 | 魚類生態と環境 1)魚類生態と環境との関わり | 魚類生態と環境との関わり、生態系における魚類の役割 【予習】 参考書類の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
第14回 | 魚類生態と環境 2)魚類資源の持続的利用と環境保全および人類のあり方 小テスト2回目(真骨魚類の特殊化、魚類の特徴と分類(綱レベル)、魚類の発達段階など) | 魚類資源の現状と魚類資源を持続的に利用するための方策 環境保全と人類のあり方(資源、生物資源、エネルギー、環境) 【予習】 参考書類の精読 【復習】 講義ノートおよび教科書等を用いた復習 | 朝日田 卓 |
(定期試験) | |||
第15回 | 達成度確認 | 試験問題の解説 【予習】 これまでの講義内容の整理 【復習】 理解が不足していた点を復習 | 朝日田 卓 |