英文名 | Comparative Immunology | |
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科目概要 | 海洋生命科学科2年後期(後半) [(8コマ)]、2群科目、必修、講義、1単位(15時間) | |
必要授業 時間外学習 | 30時間 | |
担当者 | ●筒井 繁行(増殖生物学 水族病理学) tsutsui@kitasato-u.ac.jp |
教職課程 | ||
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学芸員養成課程 | ◯ | 本学が指定する授業科目 |
食品衛生管理者・監視員任用資格 | ||
自然再生士補資格 |
動物は病原微生物から身を守るしくみ、すなわち免疫系を備えている。この免疫系は、非特異的かつ迅速な系である自然免疫系と、特異的で記憶を伴い、リンパ球や抗体に代表される獲得免疫系とに大別される。前者は無脊椎動物、脊椎動物の両者に広く分布しているが、後者は脊椎動物にのみ備わった系である。最も原始的な脊椎動物である魚類の免疫系は、かつては哺乳類のそれに比べはるかに劣っているものと考えられてきた。しかし近年の分子生物学的手法の発展により、これが哺乳類の免疫系に匹敵する、高度に洗練されたものであることが徐々に明らかにされてきた。一方で、魚類で独自に発達した免疫機構も存在しており、無脊椎動物、魚類および哺乳類の免疫系を包括的に理解することは、免疫系の進化を考える上でも重要である。本講義では自然免疫および獲得免疫を担う液性因子と細胞性因子について、主に哺乳類と魚類とで比較しながら概説し、免疫系の基盤メカニズムおよび種特異的な適応機構について解説する。加えて、円口類、軟骨魚類および硬骨魚類の免疫機構の相違についても解説し、免疫系の多様化を理解させる。
A: 多面的思考能力 | ◎ B: 自然科学の基礎知識・理解 | ◯ C: 専門分野の知識・技術 | D: 問題解決能力 |
E: 実務能力 | F: コミュニケーション能力 | G: 技術者倫理 | H: 継続的学習能力 |
1.ガイダンス
2.病原微生物学入門:ウイルス、細菌、真菌、寄生虫の特徴と性質
3.免疫学入門:免疫系の基礎(自然免疫系と獲得免疫、白血球の種類と役割)
4.自然免疫系①:細胞性因子(単球/マクロファージ・好中球)
5.自然免疫系②:液性因子(補体系・リゾチーム・ラクトフェリン・レクチン・抗菌ペプチド)
6.獲得免疫系①:B細胞と抗体
7.獲得免疫系②:T細胞とサイトカイン
8.薬理学:化学療法とワクチン
・パワーポイントを中心とした講義を行う。
・穴埋め式のプリントを毎回配布する。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 値段(円) |
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教科書 | (なし) | |||
参考書 | 好きになる免疫学 | 萩原清文・多田富雄 | 講談社 | 1,890 |
参考書 | はたらく細胞 | 清水 茜 | シリウスKC | 648 |
参考書 | ホルモンから見た生命現象と進化シリーズVII 生体防御・社会性 | 水澤寛太・矢田崇 | 裳華房 | 2,900 |
内容 | 学習・教育目標との対応 |
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1. 自然免疫系および獲得免疫系による異物の排除システムを体系的に理解できるようになる。 | 目標B |
2. 哺乳類と魚類の免疫系の違いを説明できる。 | 目標C |
3. 医薬品がなぜ効くのか理解できる。 | 目標C |
定期試験 [100%]評価基準:
自然免疫系と獲得免疫系の概要を記述できる。
魚類と哺乳類の免疫系の相違について記述できる。
医薬品の概要について記述できる。
フィードバックの方法:
初回に知識確認テストを行い、2回目及び3回目の授業で解説を行う。
定期試験の解答は「達成度確認」の時間に返却する。その際、解説も行う。
オフィスアワーは特に設けません。
毎回、穴埋め式のプリントを配布します。教科書は特に用いません。
パワーポイントを中心に授業を進めます。プリントに必要事項や重要な点を書き込んで下さい。
回 | 実施項目 | 学習内容と学習課題 | 担当者 |
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第1回 | 【ガイダンス】講義の進め方 | ・講義方針および学習方法について説明する。 ・知識確認のための入門試験を実施する。 【予習】 事前にシラバスを熟読しておく。(15分程度) 【復習】 講義内容の復習とまとめ。(1時間程度) | 筒井 繁行 |
第2回 | 【総論】病原微生物学入門 | ・ウイルス、細菌、真菌、寄生虫の特徴を解説する。 ・入門試験の解説を行う。 【予習】 インターネットなどを活用し、ウイルス、細菌、真菌の違いについて調べておく。(30分程度) インターネットなどを活用し、人体に感染する寄生虫について情報を得る(30分程度) 【復習】 講義内容の復習とまとめ。(30分程度) 病原微生物の分類表を作成する。(15分程度) 入門試験の結果をふまえ、理解不足の部分を学習する。(15分程度) | 筒井 繁行 |
第3回 | 【総論】免疫学入門 | ・自然免疫系および獲得免疫系とは何かを解説する。 ・細胞性免疫および液性免疫とは何かを解説する。 ・白血球の種類とその機能について解説する。 ・入門試験の解説を行う。 【予習】 指定の参考書やインターネットなどを活用し、白血球にはどのような種類があるか調べておく。(30分程度) 指定の参考書やインターネットなどを活用し、それぞれの白血球の働きを調べておく。(30分程度) 【復習】 講義内容の復習とまとめ。(30分程度) 白血球の分類表を作成する。(30分程度) | 筒井 繁行 |
第4回 | 【各論】自然免疫系細胞性因子 | ・貪食細胞の貪食と異物の消化のプロセスを分子レベルで解説する。 ・単球/マクロファージと好中球の性質および機能について解説する。 ・単球とマクロファージの違いについて解説する。 ・マクロファージについて、貪食から抗原提示に至るプロセスを分子生物学的に説明する。 ・マクロファージのサイトカイン産生について解説する。 ・好中球の活性化メカニズムについて解説する。 【予習】 指定の参考書やインターネットなどを活用し、貪食から消化に至るまでの分子メカニズムを調べておく。(30分程度) 指定の参考書やインターネットなどを活用し、「オプソニン」について調べておく。(30分程度) 【復習】 単球/マクロファージと好中球の性質や機能の違いに留意して講義内容をまとめる。(1時間程度) | 筒井 繁行 |
第5回 | 【各論】自然免疫系液性因子 | ・補体、レクチン、ラクトフェリン、リゾチーム、抗菌ペプチドなどの液性因子について解説する。 【予習】 指定の参考書やインターネットなどを用いて補体系について調べ、異物認識から機能の発動までのおおまかな流れをイメージしておく。(1時間程度) 【復習】 講義内容の復習とまとめ。(30分程度) 補体系のメンバー、3つの経路および3つの機能について、講義資料を参考に模式図を作成する。(30分程度) | 筒井 繁行 |
第6回 | 【各論】獲得免疫系① ~B細胞と抗体~ | ・B細胞の性質と機能について解説する。 ・抗体の機能について解説する。 ・抗体を多様たらしめる仕組み(遺伝子再編成)について解説する。 ・哺乳類、軟骨魚類、硬骨魚類の抗体の種類と構造について、比較しながら解説する。 ・哺乳類、軟骨魚類、硬骨魚類において、抗体の多様性をもたらす仕組みの相違を論ずる。 ・B細胞の成熟について解説する。 ・円口類のVLRについて解説する。 ・ワクチンについて解説する。 【予習】 指定の参考書やインターネットなどを活用し、哺乳類の抗体の5つのクラスについて、それぞれの特色や機能を調べておく。(30分程度) 指定の参考書やインターネットなどを活用し、遺伝子再編成について調べておく。(30分程度) 【復習】 抗体の種類や構造、多様化の仕組みについて、哺乳類、軟骨魚類、硬骨魚類の場合で比較しながらまとめる。(30分程度) ワクチンが有効な理由を考察する。(30分程度) | 筒井 繁行 |
第7回 | 【各論】獲得免疫系② ~T細胞とサイトカイン~ | ・細胞傷害性T細胞の性質と機能について解説する。 ・生体移植と拒絶について解説する。 ・ヘルパーT細胞の性質と機能について解説する。 ・サイトカインの種類と機能について解説する。 ・T細胞の成熟について解説する。 【予習】 指定の参考書やインターネットなどを活用し、細胞障害性T細胞とヘルパーT細胞の働きについて調べておく。(1時間程度) 【復習】 細胞傷害性T細胞とヘルパーT細胞の性質と機能に留意しながら講義内容をまとめる。(30分程度) 2種類のT細胞に抗原提示する細胞の違いに留意しながら講義内容をまとめる。(30分程度) | 筒井 繁行 |
第8回 | 【各論】薬理学 | ・医薬品と消毒剤の違いについて解説する。 ・抗生物質について解説する。 ・ワクチンについて解説する。 ・水産医薬品および水産ワクチンの投与法について解説する。 【予習】 指定の参考書やインターネットなどを活用し、抗生物質について調べておく。(30分程度) 6回目および7回目の講義内容について復習しておく。(30分程度) 【復習】 講義内容の復習とまとめ。(30分程度) 定期筆記試験に備えて総合的な復習を行ない、これまでの講義内容を充分に理解する。(1時間程度) | 筒井 繁行 |
(定期試験) |