英文名 | Technology for Utilization of Marine Bioresources | |
---|---|---|
科目概要 | 海洋生命科学科3年後期(前半) [(15コマ)]、3群科目、必修、講義、2単位(30時間) | |
必要授業 時間外学習 | 60時間 | |
担当者 | ●天野 春菜(応用生物化学 資源化学) a-haruna@kitasato-u.ac.jp |
教職課程 | ◯ | 教科及び教科の指導法に関する科目/大学が独自に設定する科目 |
---|---|---|
学芸員養成課程 | ||
食品衛生管理者・監視員任用資格 | ||
自然再生士補資格 |
既修の海洋生物化学および有機化学の知識を基礎に、魚貝類を食料資源として利用する場合に必要な成分の特徴や貯蔵中の変化、水産食品の安心・安全に必須の衛生管理の基本を、農産物や畜産物と比較しつつ解説し、海洋生物資源の利用が水圏環境の保全や漁獲から始まり、流通、消費、社会生活への影響に至るまで密接につながっていることへの理解を目指す。さらに、これらの内容の習得を通して、魚貝類の食料資源としての有効利用に関する研究開発や、実際の流通に携わったときに生じる諸問題に対処できる能力を養う。
◯ A: 多面的思考能力 | B: 自然科学の基礎知識・理解 | ◎ C: 専門分野の知識・技術 | D: 問題解決能力 |
E: 実務能力 | F: コミュニケーション能力 | ◯ G: 技術者倫理 | H: 継続的学習能力 |
1. 水産物利用化学 序論
2. 魚貝類の死後変化と鮮度保持
3. 魚貝類成分の加工貯蔵中の変化
4. 水産食品の嗜好性と機能性
5. 水産物の調理特性と加工品
6. 水産物の安全性と衛生管理
パワーポイントを用いて授業を行います。パワーポイントの内容はプリントとして配布します。また、ICT(キャンパス手帳、GoogleClassroom)を活用して意見や質問などを確認します。小テストおよび定期試験は返却して解説します。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 値段(円) |
---|---|---|---|---|
教科書 | 水産利用化学の基礎 | 渡部終五 | 恒星社厚生閣 | 3,800 |
参考書 | 水圏生化学の基礎 | 渡部終五 | 恒星社厚生閣 | 3,800 |
参考書 | 水産食品の加工と貯蔵 | 小泉千秋・大島敏明 | 恒星社厚生閣 | 4,200 |
参考書 | 水産海洋ハンドブック | 竹内俊朗 他 | 生物研究社 | 7,500 |
内容 | 学習・教育目標との対応 |
---|---|
1. 世界および日本の食料生産、供給動向、その中に占める水産食品の位置づけや特徴に関する情報を収集してとりまとめ、関連する種々の問題解決に取り組むことができる。 | 目標A |
2. 海洋生物資源の高度利用における水産食品加工の位置づけが理解でき、海洋生物資源の持続的利用を理解した高度利用の展開を述べることができる。 | 目標A |
3. 魚貝類の貯蔵特性、加工特性を主要成分の組成や変化から説明することができる。 | 目標C |
4. 主な水産物の調理特性や製造原理を実際の流通の現場で得られる代表的な水産物を対象として説明できる。 | 目標C |
5. 魚貝類の漁獲から消費までの安全性を食品衛生の立場から説明することができる。 | 目標C |
6. 食品流通や食品加工における技術者倫理の重要性を説明できる。 | 目標G |
定期試験 [80%]
小テスト [20%]
評価基準: 小テストは講義中に行います。小テストと定期試験の得点から評価します。
フィードバックの方法: 小テストは講義中に、定期試験は達成度確認期間に答案を返却して解説を行います。
「海洋生物利用学」では2年で履修する「生化学」、「有機化学」、「分析化学」、「分子生物学」、「水族生理学」、「魚類学」、「無脊椎動物学」、「水圏植物学」のほか、3年で履修する「栄養代謝化学」の学習内容を理解していることを前提として講義を進めます。とくに、「生化学」、「有機化学」、「栄養代謝化学」の復習をしてから講義に臨むこと。
オフィスアワーはとくに定めません。授業時間外の質問などはメールでも受け付けます。
海洋生命科学実験の中で食品化学に関する実験内容を理解していることを前提として講義を進めます。
回 | 実施項目 | 学習内容と学習課題 | 担当者 |
---|---|---|---|
第1回 | 1. 水産利用学概論 1-1. 講義の目的 | 1. 海洋生命科学と社会の関わり 2. 沿岸域(水産業・漁業集落)が果たす多面的機能 3. 今後の課題 4. 講義スケジュール 【予習】 シラバスを読んでおくこと。既修の授業の関連するところを復習しておくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。水産白書のデータを利用するので、講義内容と関連する部分を読む。 | 天野 春菜 |
第2回 | 1. 水産利用学概論 1-2. 水産物の特徴 | 1. 魚食の歴史と近年の傾向 2. 水産食品の豊かさと特殊性 3. 魚貝類筋肉の特徴と鮮度保持 4. 魚貝類のエネルギー代謝の特徴 5. 水産食品の栄養と機能特性 【予習】 教科書の第1章(1-9ページ)を読んでおくこと。既修の授業の関連するところを復習しておくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。 | 天野 春菜 |
第3回 | 2.魚貝類の死後変化と鮮度保持 2-1. 筋肉の構造と主要構成タンパク質 | 1. 筋肉の種類 2. 魚類筋肉の特徴 3. 海産無脊椎動物筋肉の多様性 4. 筋細胞(筋線維) 5. 筋原線維 6. 筋小胞体 7. 筋収縮の制御 8. 筋肉の主要構成タンパク質の構造と特徴 9. 筋タンパク質の組成 【予習】 前回講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第2章(10-21ページ)を読んでおくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。 | 天野 春菜 |
第4回 | 2. 魚貝類の死後変化と鮮度保持 2-2. 死後硬直と生化学的変化 | 1. 死後硬直と生化学的変化 2. 生体内のエネルギー代謝 3. ATP消費と再合成 4. 死後硬直の分子機構 5. 死後硬直の進行に及ぼす種々の要因 6. 解凍硬直とあらいの効果 7. 死後のテクスチャー変化 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第2章(22-40ページ)を読んでおくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。 | 天野 春菜 |
第5回 | 2. 魚貝類の死後変化と鮮度保持 2-3. 鮮度影響要因と鮮度管理、凍結保存 | 1. 魚介類の死後変化と鮮度変化 2. 鮮度判定法 3. 鮮度に影響を及ぼす因子と鮮度保持 4. 水産物の凍結保存 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第3章(41-54ページ)を読んでおくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。 | 天野 春菜 |
第6回 | 3. 魚貝類成分の加工貯蔵中の変化 3-1. タンパク質 | 1.アミノ酸の種類と栄養 2. タンパク質の構造と機能 3. タンパク質の凍結変性 4. タンパク質の熱安定性 5. その他の要因によるタンパク質の変性 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第4章(55-64ページ)を読んでおくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。 | 天野 春菜 |
第7回 | 3. 魚貝類成分の加工貯蔵中の変化 3-2. 脂質、糖質 | 1. 脂質の種類と構造 2. 魚肉全脂質の脂肪酸組成 3. 脂溶性ビタミンの種類と構造、加工に伴う変化 4. 不飽和脂肪酸の自動酸化 5. 糖類の種類と構造 6. 魚貝肉のグリコーゲン含量 7. ホタテガイ貝柱の加熱褐変反応 8. 酸性ムコ多糖の種類と構造 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第4章(64-74ページ)を読んでおくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。 | 天野 春菜 |
第8回 | 小テスト | 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。 【復習】 小テストを振り返り、出題部分の教科書や配付資料を確認する。 | 天野 春菜 |
第9回 | 3. 魚貝類成分の加工貯蔵中の変化 3-3. 色素 3-4. 貯蔵や加工に伴う色変、その他 | 1. 色素 2. メイラード反応による色変 3. ミオグロビンの褐変 4. 胆汁色素 5. 貯蔵や加工に伴う水産物の色変 6. 無機質、ビタミン 【予習】 前々回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第4章(74-79ページ)を読んでおくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。実際の商品を観察し、魚貝類食品の色変の原因を考察する。 | 天野 春菜 |
第10回 | 4. 水産食品の嗜好性と機能性 4-1. 呈味成分 4-2. 臭い、その他 | 1. 基本味とその他の味 2. 呈味物質の種類 3. 無機塩類 4. 遊離アミノ酸 5. うま味成分 6. ペプチド 7. 核酸関連物質 8. 有機塩基、有機酸、糖、脂質 9. 食品の評価 10. 呈味成分の変化 11. 呈味性の管理 12. 特有臭 13. 鮮度低下臭 14. 加熱加工臭 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第5章(81-94ページ)を読んでおくこと。魚貝類を食べるときに味を確かめておくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。 | 天野 春菜 |
第11回 | 4. 水産食品の嗜好性と機能性 4-3. 機能性食品 | 1. 食品の機能性 2. タンパク質の栄養価 3. アミノ酸スコアと制限アミノ酸 4. 脂質の栄養価 5. ビタミン、ミネラル 6. 機能性食品 7. 水産物由来の特別保健用食品の適用素材 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第6章(95-111ページ)を読んでおくこと。市場に出ている機能性食品を調べておくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。技術者倫理を復習する。 | 天野 春菜 |
第12回 | 5. 水産物の調理特性と加工品 5-1. 調理特性 | 1. 魚体の処理 2. 生食調理 3. 塩じめ 4. 加熱調理 5. 干物、燻製、甘露煮、漬け物 6. だし 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第7章(112-121ページ)を読んでおくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。機会をみつけて調理を実際に試みる。 | 天野 春菜 |
第13回 | 5. 水産物の調理特性と加工品 5-2. 加工品の種類と特徴 | 1. 水産加工品の特徴 2. 水産練り製品 3. 海藻加工品 4. 鰹節、塩蔵品、燻製品、その他 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第8章(122-142ページ)を読んでおくこと。市場にどのような魚貝類加工品があるかを調べておくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。 | 天野 春菜 |
第14回 | 6. 水産物の安全性と衛生管理 6-1. 水産物の安全性 | 1. 食品の安全性評価とリスク分析 2. 水産物の安全性評価と危害分析 3. 食中毒の原因となる微生物 4. 水産食品とアレルギー 5. 水銀 6. 内分泌かく乱物質(環境ホルモン) 7. 放射性物質 8. 抗菌剤・農薬 9. その他の危害可能性物質 10. 魚貝類の自然毒 11. 食品偽装の問題 【予習】 前回までの講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第9章(143-177ページ)を読んでおくこと。マスコミなどで取り上げられている食品の危害や安全性の問題を考察しておくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。技術者・生命・環境倫理を復習する。 | 天野 春菜 |
第15回 | 6. 水産物の安全性と衛生管理 6-2. 水産物製造流通の衛生管理 | 1. HACCP衛生管理方式 2. HACCPの概念 3. HACCPの原則と手順 4. HACCPで対象とする危害とその因子 5. 水産物の品質管理 6. フードチェーンにおける水産物の衛生管理の考え方 7. 漁港における品質管理、衛生管理 8. 魚肉練り製品製造の衛生管理 9. 一般的衛生管理の実施 10. 安全トレーサビリティー 11. おわりに 【予習】 前回までの関連する講義の内容を復習をしておくこと。教科書の第10章(178-190ページ)を読んでおくこと。マスコミなどで取り上げられている食品の危害や安全性の問題を考察しておくこと。 【復習】 今回の講義資料をまとめる。技術者・生命・環境倫理を復習する。 | 天野 春菜 |
定期試験 | |||
達成度確認 | 【予習】テストを振り返り、出題部分の教科書や配付資料を確認しておくこと。 【復習】テストで間違っていた範囲の教科書や配付資料を確認する。 |