英文名 | Museum Exhibition | |
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科目概要 | 海洋生命科学科3年後期 [(15コマ)]、学芸員養成課程科目、博物館に関する科目、講義、2単位(30時間) | |
必要授業 時間外学習 | 60時間 | |
担当者 | ●中村 元 |
教職課程 | ||
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学芸員養成課程 | ◯ | 博物館法及び博物館法施行規則に定める授業科目 |
食品衛生管理者・監視員任用資格 | ||
自然再生士補資格 |
日本の博物館展示はカスタマーズ起点の考えが希薄で、どこまでもサプライヤー起点である。また古参学芸員の多くが古典的なハイカルチャー施設への指向が高く、博物館施設をマスカルチャー施設としてとらえた運営ができずにいるため、利用者の減少を止められずにいる。とりわけ水族館・動物園では、展示の方向性が「子どもへの科学教育」への指向が強く、「全ての世代の知的好奇心を起こし満足させる」という博物館に求められている重要な目的が果たされていない。博物館展示において学芸員が成すべきことは、一人でも多くの観覧者を集客できる展示、一つでも多く1秒でも長く興味を持たせ好奇心を起こさせる展示の開発と運営である。
本授業においては主に水族館をテーマに、①観覧者の行動と心理を起点とした展示の知識を持ち、②生物の命を展示するということの覚悟と責任を学び、③マスカルチャーとしての展示開発および運営ができるようになり、④社会的に影響力のある展示を研究開発できるスキルを身につけることで、利用者が多く社会に影響を与えられる水族館博物館施設を運営できる学芸員を養成することを目的とする。
◎ A: 多面的思考能力 | B: 自然科学の基礎知識・理解 | ◎ C: 専門分野の知識・技術 | ◯ D: 問題解決能力 |
◯ E: 実務能力 | ◎ F: コミュニケーション能力 | ◯ G: 技術者倫理 | H: 継続的学習能力 |
(1)博物館展示の意義
1.展示の本質 2.展示の意義 3.水族館の歴史と社会性
(2)展示のデザイン
1.顧客起点の展示 2.水族館展示の諸形態 3.ショーの諸形態
(3)展示の実践技術
1.価値の高い水族館開発の進め方 2.展示効果の高い展示開発の進め方 3.水槽製作の実践的知識
(4)解説のデザイン(グラフィック解説)
1.解説の目的 2.利用される解説 3.解説づくりの実践
(5)解説のデザイン(グラフィック外)
1.グラフィック外の解説方法開発 2.SDGsと水族館 3.解説員による解説/体験学習による解説
(6)定期試験
・実際の展示開発にも使用する技術資料を講義用に編纂したテキストを配布。
・講義の進行は板書により、学生の考える力を鍛えながら好奇心を維持させる方法で進行。
・各単元で、全国の水族館でサンプリングした良い例(悪い例も)の実際の写真を展開し、講義内容にリアリティを持たせる。
・解説のデザインでは、解説を作成するワーキングを行い、その作品を使って実践的な講義を行う。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 値段(円) |
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教科書 | 講義用に編集したテキスト | 中村 元 | 水族館の展示論としてまとめられた資料は他にないため特別に作成した | |
参考書 | 水族館哲学 人生が変わる30館 | 中村 元 著 | 文春文庫 | 890 |
参考書 | 中村元の全国水族館ガイド125 | 中村 元 著 | 講談社ビーシー/講談社 | 2,700 |
参考書 | いただきますの水族館 | 中村 元・山内 創 著 | 瀬戸内人 | 1,400 |
内容 | 学習・教育目標との対応 |
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1. 博物館展示における顧客起点を理解し対応できる思想を持つ。 | 目標AC |
2. 博物館および展示物の持つ情報が社会に影響を与えられる可能性を理解する。 | 目標AC |
3. 様々な展示を顧客起点で評価し、改善および新展示の開発を研究できる知識と技術を習得する。 | 目標BCDE |
4. 利用者の多い水族館、観覧率の高い水槽展示を実践できる知識を習得する。 | 目標CDEG |
5. 利用率が高く、伝える力の強い解説をつくる知識と技術を習得する。 | 目標CEF |
総合レポート(ラボ改修計画基本構想) [100%]
評価基準: 北里大ラボを水族館施設として改修する水族館構想の作成をレポートとする。水族館(博物館)の展示開発において、一般的な大衆にどのようにして知的好奇心 を芽生えさせ、情報を伝えることができるのかの実践的な体験。
①講義内容を実践的に体験することで、講義内容の最低限の理解と習得はあったとした上で、
②講義内容の理解度の高さと、構想を計画するための具体的手法の習得および発想力を上位評価の基準とする。
フィードバックの方法: レポートに対するコメントを付して返却
特になし
回 | 実施項目 | 学習内容と学習課題 | 担当者 |
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第1回 | 博物館展示の意義 | 1.展示の本質 1)展示のデザイン総論 2)展示の本質/学芸員は展示係 【予習】 『水族館哲学 人生が変わる30館』の「はじめに」と、『中村元の全国水族館ガイド125』の「まえがき」を読んでおくこと 【復習】 『中村元の全国水族館ガイド125』のコラムを読む | 中村 元 |
第2回 | 博物館の意義 | 2.展示の意義 3)水族館の本質 4)命を展示することの意味と覚悟 【予習】 『中村元の全国水族館ガイド125』の関東編の水族館を全て読んでおく。 【復習】 『中村元の全国水族館ガイド125』の関東編以外も読み進める | 中村 元 |
第3回 | 博物館の意義 | 3.水族館の歴史と社会性 5)水族館の歴史/ハイカルチャーからマスカルチャーへ 6)社会教育施設としての水族館、博物館 【予習】 『水族館哲学 人生が変わる30館』をできるかぎり読破すること 【復習】 『水族館哲学 人生が変わる30館』から、講義と関係していた部分を探して再度読む | 中村 元 |
第4回 | 展示のデザイン | 1.展示による施設利用の促進 1)カスタマーズ起点:人はなぜ水族館を利用するのか/水族館の魅力『水塊』と『知的好奇心』 【予習】 手近な水族館を訪問し、観覧者の行動を観察 『中村元の全国水族館ガイド125』の関東編の他では、北の大地の水族館、旭山動物園、円山動物園、アクアマリンふくしま、東海大学海洋科学博物館、鳥羽水族館、沖縄美ら海水族館を読んでおくこと。 【復習】 再度水族館を訪問し、観覧者の行動を観察 | 中村 元 |
第5回 | 展示のデザイン | 2.水族館展示の諸形態 2)水族館の展示理念および、展示水槽の歴史と変遷 【予習】 手近な水族館を訪問し、観覧者の行動を観察 『中村元の全国水族館ガイド125』の関東編の他では、北の大地の水族館、旭山動物園、円山動物園、アクアマリンふくしま、東海大学海洋科学博物館、鳥羽水族館、沖縄美ら海水族館を読んでおくこと。 【復習】 講義で紹介された水族館や展示の利用者からの評価を、インタネット上で調査 | 中村 元 |
第6回 | 展示のデザイン | 3.ショーの諸形態 3)ショーの歴史と変遷 / 社会の興味の変遷 【予習】 『中村元の全国水族館ガイド125』の関東編の他では、名古屋港水族館、伊勢シーパラダイス、アドベンチャーワールドを読んでおくこと 【復習】 講義内容に出てきたショーの利用者の評判を、インターネット上で確認 | 中村 元 |
第7回 | 展示の実践技術 | 1.価値の高い水族館開発の進め方 1)利用される水族館開発の思想と手順:マーケティング~基本構想~展示理念~展示計画 【予習】 「サンシャイン水族館」もしくは「新江ノ島水族館」を一般の利用者になったつもりで見学視察のこと 【復習】 習得した知識で、手近な水族館の展示開発の分析や評価をしてみる | 中村 元 |
第8回 | 展示の実践技術 | 2.展示効果の高い展示開発の進め方 2)効果ある展示を開発する思想と手順:展示計画~テーマ~具体案~実験 【予習】 「サンシャイン水族館」もしくは「新江ノ島水族館」を一般の利用者になったつもりで見学視察のこと 【復習】 習得した知識で、手近な水族館の展示内容の分析や評価をしてみる | 中村 元 |
第9回 | 展示の実践技術 | 3.水槽製作の実践的知識 3)展示効果を最大にする水槽開発の手法と技術:模型づくり/専門業者(工事、水槽設備、擬岩、色、照明) 【予習】 「サンシャイン水族館」もしくは「新江ノ島水族館」を客一般の利用者になったつもりで見学視察のこと 【復習】 習得した知識で、手近な水族館の水槽の分析や評価をしてみる | 中村 元 |
第10回 | 解説のデザイン(グラフィック解説) | 1.解説の目的 1)解説の目的と事例/利用されない解説と利用される解説 【予習】 『中村元の全国水族館ガイド125』の関東編以外では、竹島水族館、桂浜水族館、海きららを読んでおくこと 【復習】 読ませる解説を自主製作 | 中村 元 |
第11回 | 解説のデザイン(グラフィック解説) | 2.利用される解説 2)読ませる解説の重要ポイント 【予習】 博物館と美術館の解説の違いを調査 【復習】 読ませる解説を自主製作 | 中村 元 |
第12回 | 解説のデザイン(グラフィック解説) | 3.解説づくりの実践 3)解説づくり実践ワークショップ 【予習】 博物館と美術館の解説の違いを調査 【復習】 読ませる解説を自主製作 | 中村 元 |
第13回 | 解説のデザイン | 1.グラフィック外の解説方法開発 1)グラフィック以外の展示手法の形態:標本展示・メディアによる展示 【予習】 『いただきますの水族館』を読んでおくこと 以下の水族館のSNS情報を確認のこと、桂浜水族館の公式Twitter、伊勢シーパラダイスの公式YouTube、鳥羽水族館の公式YouTube、北の大地の水族館山内創館長のTwitter 【復習】 博物館施設の標本展示を見学、その興味や理解度を身を以て体験のこと | 中村 元 |
第14回 | 解説のデザイン | 2.解説員による解説/体験学習による解説 2)解説員の直接対話による解説 【予習】 解説員の解説を実際に聞いてくる 【復習】 解説員の解説を実際に聞いてくる | 中村 元 |
第15回 | 解説のデザイン | 3.体験学習による解説 3)体験学習のあり方 【予習】 水族館・動物園・博物館などで提供する体験学習を体験 【復習】 水族館・動物園・博物館などで提供する体験学習を体験 | 中村 元 |
(定期試験) |