英文名 | Fisheries Economics | |
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科目概要 | 海洋生命科学科3年前期(前半) [(8コマ)]、3群科目、選択、講義、1単位(15時間) | |
必要授業 時間外学習 | 30時間 | |
担当者 | ●小川 健 |
旧目的:漁業生産の経済的特質と、その歴史的展開の背景に関する理解を深めることを目標とする。また、漁業をめぐる国際関係や近年重要な政策課題となっている漁業管理の現状について解説し、現在の漁業の置かれている社会経済的状況を総合的に理解することを目指す。
新目的:旧目的を残した上で、水産白書を初めとする水産関係の公的書類のうち経済分野に関するものを読めるようにすることを主目的とする。また、水産経済に関する色々な学派・分野の知見を基に、問題解決に経済学的な観点が必要なことを理解することを副次的な目的とする。
以下の記載は旧担当者の在り方を基にして2024(令和6)年度に就任した担当者が修正しつつある本講義の内容である。
受講生の理解度・進度や各種法的・社会的事象などに基づいて多少入れ替え・差し替えをすることがある。
1.水産魚の産業的特質:何故一般的な工業品による財とは異なる扱いをする必要があるのか
(獲れる量の不確実性、未利用魚などを含む、再生可能資源、水産養殖の重要性とその問題点は4.で扱う予定)
2.日本の漁業生産の歴史的展開、その社会経済的背景:何故高齢化著しい斜陽産業と扱われるようになったのか
(保存・輸送技術に左右される漁業生産、親子間以外への技術継承、防衛としての漁業者配置を含む、排他的経済水域は5.で扱う予定)
3.日本における水産物消費の特徴と動向:何故「買い負け」と呼ばれる状況になったのか
(主要タンパク源・ミネラル源としての魚・水産物、肉類との競争、輸入魚の影響、水産物の位置付けの内外の違い、水産エコラベルを含む)
4.世界の漁業生産とその展開:今後も伸ばせる可能性は天然漁獲でなく水産養殖であるとはどういう意味か
(再生可能資源の持続可能性、世界と日本の漁獲量・水産業の推移、魚種選択、水産養殖の可能性と問題点を含む)
5.海洋法体制と日本漁業:排他的経済水域とは何で、世界に、そして日本と日本の漁業に何をもたらしたか
(国際的に共有された再生可能資源、越境的な水産資源管理を行うRFMOを含む)
6.漁業管理と「資源管理型漁業」、海外の漁業管理制度と日本との比較:伝統的漁業管理と「科学的」漁業管理及び経済的な観点を必要とする理由
(2018年頃の漁業法の変更に関する各種変更、漁業における奴隷労働、オリンピック方式、譲渡可能・譲渡不要な個別漁獲割り当てを含む)
7.水産政策の現状と方向性:日本の水産庁と諸外国の水産業担当官庁との役割の違い
(漁協の役割、水産教育・研究機構などの存在意義、政府系ではない水産学関連の研究の存在意義を含む)
8.学派の違いによる示唆する方向性の違い、オンラインテスト
講義形式
◎ A: 多面的思考能力 | B: 自然科学の基礎知識・理解 | ◯ C: 専門分野の知識・技術 | D: 問題解決能力 |
E: 実務能力 | F: コミュニケーション能力 | G: 技術者倫理 | H: 継続的学習能力 |
回 | 実施項目 | 学習内容と学習課題 | 担当者 |
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第1回 | 水産業の産業的特質 | 何故一般的な工業品による財とは異なる扱いをする必要があるのか 【予習】 水産白書の概要はどんな配置になっているのか、令和5年版またはより新しいものを事前に見ておく。 https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/index.html 【復習】 スライド資料や収録配信などを見て、理解できなかったところを確認し必要なら質問の上で、指定のオンライン課題を取り組んで送信する。 | 小川 健 |
第2回 | 日本の漁業生産の歴史的展開、その社会経済的背景 | 何故高齢化著しい斜陽産業と扱われるようになったのか 【予習】 水産白書を初め指定した関連資料を見ておく。 【復習】 スライド資料や収録配信などを見て、理解できなかったところを確認し必要なら質問の上で、指定のオンライン課題を取り組んで送信する。 | 小川 健 |
第3回 | 日本における水産物消費の特徴と動向 | 何故「買い負け」と呼ばれる状況になったのか 【予習】 水産白書を初め指定した関連資料を見ておく。 【復習】 スライド資料や収録配信などを見て、理解できなかったところを確認し必要なら質問の上で、指定のオンライン課題を取り組んで送信する。 | 小川 健 |
第4回 | 世界の漁業生産とその展開 | 今後も伸ばせる可能性は天然漁獲でなく水産養殖であるとはどういう意味か 【予習】 水産白書を初め指定した関連資料を見ておく。 【復習】 スライド資料や収録配信などを見て、理解できなかったところを確認し必要なら質問の上で、指定のオンライン課題を取り組んで送信する。 | 小川 健 |
第5回 | 海洋法体制と日本漁業 | 排他的経済水域とは何で、世界に、そして日本と日本の漁業に何をもたらしたか 【予習】 水産白書を初め指定した関連資料を見ておく。 【復習】 スライド資料や収録配信などを見て、理解できなかったところを確認し必要なら質問の上で、指定のオンライン課題を取り組んで送信する。 | 小川 健 |
第6回 | 漁業管理と「資源管理型漁業」、海外の漁業管理制度と日本との比較 | 伝統的漁業管理と「科学的」漁業管理及び経済的な観点を必要とする理由 【予習】 水産白書を初め指定した関連資料を見ておく。 【復習】 スライド資料や収録配信などを見て、理解できなかったところを確認し必要なら質問の上で、指定のオンライン課題を取り組んで送信する。 | 小川 健 |
第7回 | 水産政策の現状と方向性 | 日本の水産庁と諸外国の水産業担当官庁との役割の違い 【予習】 水産白書を初め指定した関連資料を見ておく。 【復習】 指定のオンライン課題を取り組んで送信する。その上でオンラインテストに向けて理解を深める。 | 小川 健 |
第8回 | 学派の違いによる示唆する方向性の違い、オンラインテスト、残された課題 | 学派の違いによる知見の違いは何か。オンラインテストを通して理解すべきこの科目のポイントは何か。+ここまでに扱えなかった項目を扱う。 【予習】 第1~7回のスライド解説や収録配信及び関連資料を見て、オンラインテストに向けた理解を深めておく。 【復習】 スライド資料や収録配信などを見て、理解できなかったところを確認し必要なら質問の上で、指定のオンライン課題を取り組んで送信する。 | 小川 健 |
(定期試験) |
内容 | 学習・教育目標との対応 |
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1. 日本漁業の基本的な経済的特徴に関する知見を習得し、説明することができる。 | 目標AC |
2. 日本漁業をめぐる国際関係を理解し、説明することができる。 | 目標A |
<単位認定要件>以下の単位認定要件(1)-(3)を全て満たした者のみ単位を認定し、一律60%を付与する。
(1)オンラインテスト[50%]評価基準: 上記到達目標におおむね達しているかを評価の基準とし、通過水準として100点換算で80点以上を確保することを条件とし、通過者に一律50%を付与する。未通過の場合は指示に従い通過するまで受け直すこととする。オンラインテストは使用可能ならMicrosoft Formsを使うことを想定している。
(2)各回のオンライン提出物[計10%]評価基準: 講義に対する理解しようとする姿勢があるかどうかを評価の基準とし、「概ね問題無く送信している」者に一律10%を付与する。※概ね問題無く、には未解答項目を放置した送信、及び未送信に対しては原則該当しないことを想定する。
(3)定期試験への参加[理由なき不参加者に-10%]:定期試験への理由なき不参加者には懲罰的に-10%とし、理由に該当するもの大学の定期試験における公式追試受験可能な理由と同程度を想定する。理由の提出には公式追試の申請の場を用いるものとする。
<単位認定に無関係な評価項目>定期試験など[40%]:定期試験をあて、単位認定者のみ残り40%を評価する。上限を20%として類題差し替えレポートを提示し、定期試験より点数の低い場合のみ点数を差し替えるものとする。定期試験が満点であっても、単位認定要件を満たさない場合は単位は認定しない。
<フィードバックの方法> 疑問点等がある場合は、offcha(チャットルーム)に質問を出してもらい、それに回答することで疑問点の解消に務める。https://offcha.com/room/zzOGoyCeN31U5EUR89u5
プライバシーが絡む項目についてはGoogle Classroomの限定公開のコメントなどLMSを活用することで疑問点の解消に務める。
講義担当者連絡先: takeshi_ogawa_lecture [at] yahoo.co.jp
同学年で開講されている水産法規(集中講義)、水産物流通論(集中講義)も受講することで、内容の理解が一層深まります。講義終了後あるいはoffcha(チャットルーム)でも質問等を受けます。
理解を深めるために水産物関連の製品,例えばMSCやASCの水産エコラベルの付いた商品を持参・提示することがあります。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 値段(円) |
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教科書 | 水産白書(HP) 水産白書(HP)は(最新または1つ前のものなどに関し)閲覧可能であることを受講前提とする。 | https://www.jfa.maff.go.jp/j/kikaku/wpaper/index.html | ||
教科書 | 令和6年水産白書 紙媒体を確保可能な人は用意すると理解しやすい。全員分は存在しないため、入手可能な人のみとする。 | 水産庁編 | 農林統計協会 | 3,300 |
教科書 | 新さかなの経済学 ―漁業のアポリア 近年の漁業法変更に関係する 項目のうちこの本を参考にできる 箇所は多く、2024(令和6)年度と 教科書を切り替えた | 山下東子著 | 日本評論社 | 2,750 |
参考書 | ポイント整理で学ぶ 水産経済 本講義を包括する1冊の「絶版前の」教科書は存在しないので、旧担当者の主要参考書を参照するが、絶版のため購入できない想定で進める。 | 廣吉・佐野編著 | 北斗書房 | 3,150 |
参考書 | 日本の水産資源管理:漁業衰退の真因と復活への道を探る | 片野歩・阪口功著 | 慶應義塾大学出版会 | 2,750 |
参考書 | 図解入門業界研究 最新漁業の動向とカラクリがよ~くわかる本 | 勝川俊雄著 | 秀和システム | 1,650 |
参考書 | 水産海洋ハンドブック 第3版 | 竹内敏郎(他)編著 | 生物研究社 | 8,250 |
参考書 | 資源経済学への招待―ケーススタディとしての水産業 | 寳多康弘・馬奈木俊介編著 | ミネルヴァ書房 | 5,500 |
参考書 | 農林水産の経済学 | 馬奈木俊介編著 | 中央経済社 | 3,960 |
参考書 | 「大衆魚」の誕生: 戦間期における水産物産業の形成と展開 | 植田展大著 | 東京大学出版会 | 6,600 |
参考書 | 魚と日本人――食と職の経済学 | 濱田武士著 | 岩波新書 | 902 |
参考書 | 魚類養殖業の経済分析 | 小野征一郎著 | 農林統計出版 | 2,200 |
参考書 | 水産改革と魚食の未来 | 八木信行著 | 恒星社厚生閣 | 2,860 |
参考書 | 日本の農林水産業: 成長産業への戦略ビジョン | 八田達夫・高田眞著 | 日経BPマーケティング | 5,452 |
参考書 | スマート水産業の大研究 人工衛星の漁場探索から一本釣りロボットまで | 和田雅昭監修 | PHP研究所 | 3,850 |
参考書 | コモンズのガバナンス | エリノア・オストロム著 | 晃洋書房 | 4,180 |
参考書 | 上記以外に講義中に、各講義項目に沿った参考書を紹介する。 | |||
参考書 | The State of World Fisheries and Aquaculture 2024 | FAO著 https://openknowledge.fao.org/items/06690fd0-d133-424c-9673-1849e414543d | FAO |