英文名 | Preservation of Museum Collections | |
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科目概要 | 海洋生命科学科2年後期 [(15コマ)]、学芸員養成課程科目、博物館に関する科目、講義、2単位(30時間) | |
必要授業 時間外学習 | 60時間 | |
担当者 | ●伊藤 寿茂 |
教職課程 | ||
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学芸員養成課程 | ◯ | 博物館法及び博物館法施行規則に定める授業科目 |
食品衛生管理者・監視員任用資格 | ||
自然再生士補資格 |
上期の「博物館資料論」などから引き続き、博物館の根幹をなす「博物館資料」について学ぶ。本授業では特に、資料の保存や保管と関連がある展示および調査、研究の事例を示すなかで、資料の活用方法を知り、学芸員として従事した際に有用な素養を身につける。
博物館の根幹をなす「博物館資料」について、資料に臨む基本的な知識と姿勢を学ぶ。特に水族館を主とする自然系博物館における資料の取り扱いについて、具体例を挙げながら、その保存から活用方法を示す。調査、研究については、学芸員に必要なスキルであると考え、その意義を認識し、自発的に行うきっかけを与える。
パワーポイントの演示と配布資料への自発的な加筆を中心とした対面授業とする。教科書および参考書として、オープンアクセスの学術論文を用いる。各時限毎に、授業内容に関連するレポートを課し、最終日の授業時に行う試験結果と合わせて単位取得の可否判断を行う。
回 | 実施項目 | 学習内容と学習課題 | 担当者 |
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1 | "授業ガイダンス 博物館資料保存の概要 博物館資料の保存の目的と意義" | "授業のスケジュールとと到達目標の説明 博物館法における資料の位置づけと分類、保存の意義 展示と研究のための保存の実例 【予習】 「新時代の博物館学」第3章第1節、第4章第1節、論文「境川河口域におけるアミメノコギリガザミの初記録」の通読(60分) 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
2 | "博物館資料保存の意義 展示および調査、研究の意義" | "展示と研究のための保存の実例 資料論で示した展示および調査、研究の意義の再確認 【予習】 論文「絶滅危惧種の寄生虫-イシガイ類のグロキディウムの宿主解明-」「相模湾初記録となるツブイボショウジンガニPlagusia immaculata Lamarck, 1818」の通読(30分) 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
3 | 博物館資料保存の方法① | "展示と研究のための保存の実例 動物福祉と生命倫理について再確認 【予習】 「新時代の博物館学」第4章第2節、論文「相模湾初記録のナルトビエイ・ヒメイトマキエイ(エイ目トビエイ科),および稀種ユメタチモドキ(スズキ目タチウオ科)の同湾からの確実な記録について」「相模湾におけるウバザメ(ネズミザメ目,ウバザメ科)の出現状況」「相模湾初記録となるアカボウ(スズキ目ベラ科)について」の通読(90分) 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
4 | 博物館資料保存の方法② | "展示と研究のための保存の実例 人文系博物館における資料保存の概観 資料劣化への対応 【予習】 「新時代の博物館学」第4章第3、4節、「学芸員の仕事」第3章、の通読(90分) 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
5 | 博物館資料保存の方法③ | "演示展示への標本活用の実例 保存と展示の両立の難しさ 【予習】 特になし 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
6 | 博物館資料保存の方法④ | "研究のための保存の実例 標本の保存から保管(収蔵)への流れ 【予習】 論文「神奈川県江の島の陸域および淡水域におけるカニ類の分布」「相模湾の汽水域で確認されたカニ類-特に北限産出となる希少種の記録について-」の通読(60分) 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
7 | 博物館資料保存の方法⑤ | "研究のための保存の実例 外部形態と遺伝子の保存 【予習】 論文「神奈川県で確認されたイシガイ科二枚貝の生息」「秋に放出された琵琶湖産ドブガイ属幼生の宿主魚類」「実験飼育下で判明したカタドブガイ幼生の宿主魚類」の通読(60分) 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
8 | 博物館資料保存の方法⑥ | "研究のための保存の実例 研究から展示への応用 【予習】 論文「江の島の潮間帯および潮下帯浅所の海藻相」の通読(30分) 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
9 | 博物館資料保存の課題① | "「こと」資料保存の意義とそのためのツール 「こと」資料の保存の実例 【予習】 論文「マツカサガイのグロキディウム幼生の流下生態」「外来多毛類カニヤドリカンザシの棲管の間隙から得られた多数のサツキハゼ」の通読(60分) 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
10 | 博物館資料保存の課題① | "生きた資料「生体」保存の意義と工夫 生きた資料の保存の実例」 【予習】 特になし。 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
11 | 博物館資料保存の展望① | "標本収蔵と論文の両立の重要性 展示に活用される収蔵標本の実例 【予習】 特になし。 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
12 | 博物館資料の展望② | "資料のデジタル化とその活用 新時代の資料保存の実例 【予習】 論文「相模湾で採集された北限記録のフタハベニツケモドキThalamita admete(軟甲綱:十脚目:ワタリガニ科)」の通読(30分) 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
13 | 到達度確認 | "定期試験の実施 【予習】 「新時代の博物館学」第4章の通読(120分) 過去の配布資料の通読(120分) 【復習】 定期試験内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
14 | 博物館資料の展望③ | "博物館における研究の実例 【予習】 特になし。 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
15 | 博物館資料の展望④ | "博物館における研究の実例 【予習】 特になし。 【復習】 配布資料を用いた講義内容の復習(30分)" | 伊藤 寿茂 |
内容 | 学習・教育目標との対応 |
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1. 博物館資料の保存意義について説明することができる。 | 目標BC |
2. 保存、保管を伴う博物館資料の展示や調査、研究への活用方法について説明することができる。 | 目標BCDEFG |
レポート [70%]
定期試験[30%]
評価基準: 定期試験については、講義と教科書の内容が的確に把握されているかの観点で評価する。
レポートについては、各時限に1回ずつ、計14回提出(各回5%×14時限)主に直前の授業内容について、その把握度を評価する。
フィードバックの方法: 各時限のレポートの記述内容の一部について、後日の授業で取り上げ、模範解答や講師の見解を示す。
学生の授業態度によって途中で履行を打ち切る場合あり。他の履行者に不利益となる言動を慎むこと。
種別 | 書名 | 著者・編者 | 発行所 | 値段(円) |
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教科書 | 各時限冒頭に配布する資料。 | |||
教科書 | 新時代の博物館学 | 全国大学博物館学講座協議会西日本部会 編 | 芙蓉書房出版 | 1,900+税 |
教科書 | 学芸員の仕事 | 神奈川県博物館協会編 | 岩田書院 | 1,900+税 |
教科書 | 絶滅危惧種の寄生虫-イシガイ類のグロキディウムの宿主解明- | 伊藤 寿茂 | 日本野生動物医学会誌,24:97-103. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 境川河口域におけるアミメノコギリガザミの初記録 | 伊藤寿茂 | 神奈川自然誌資料,38:37-40. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 相模湾初記録となるツブイボショウジンガニPlagusia immaculata Lamarck, 1818 | 伊藤寿茂・崎山直夫 | 神奈川自然誌資料,40:33-35. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 相模湾初記録のナルトビエイ・ヒメイトマキエイ(エイ目トビエイ科),および稀種ユメタチモドキ(スズキ目タチウオ科)の同湾からの確実な記録について | 崎山直夫・瀬能宏・御宿昭彦・神応義夫・伊藤寿茂 | 神奈川自然誌資料32:101-108. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 相模湾におけるウバザメ(ネズミザメ目,ウバザメ科)の出現状況 | 崎山直夫・瀬能宏・樽創 | 神奈川自然誌資料31:55-58. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 相模湾初記録となるアカボウ(スズキ目ベラ科)について | 崎山直夫・瀬能宏 | 神奈川自然誌資料29:125-128. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 神奈川県江の島の陸域および淡水域におけるカニ類の分布 | 伊藤寿茂・北嶋円・植田育男 | 神奈川自然誌資料32:71-78. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 相模湾江の島周辺の潮間帯と潮上帯におけるカニ相とその生息環境 | 伊藤寿茂・嶋津雄一郎・加登岡大希・大下 勲・崎山直夫・植田育男 | 黒潮圏科学,15: 40-55. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 相模湾の汽水域で確認されたカニ類-特に北限産出となる希少種の記録について- | 伊藤寿茂・勝呂尚之 | Cancer,27:17-27. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 神奈川県で確認されたイシガイ科二枚貝の生息 | 伊藤寿茂・古川大恭・田中俊之・根本卓・勝呂尚之 | 神奈川自然誌資料31:19-28. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 秋に放出された琵琶湖産ドブガイ属幼生の宿主魚類 | 伊藤寿茂 | Venus,77(1-4):27-35. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 実験飼育下で判明したカタドブガイ幼生の宿主魚類 | 伊藤寿茂・柿野亘・成田勝・竹内基 | Venus, 80: 25-34. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 江の島の潮間帯および潮下帯浅所の海藻相 | 伊藤寿茂・宮代穣・小林敦 | 神奈川自然誌資料,40:5-14. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | マツカサガイのグロキディウム幼生の流下生態 | 伊藤寿茂・丸山隆 | 日本生態学会誌 54 (2):85-94. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 外来多毛類カニヤドリカンザシの棲管の間隙から得られた多数のサツキハゼ | 伊藤寿茂・森元気 | 神奈川自然誌資料30:69-73. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 駿河湾初記録となるハシリイワガニモドキMetopograpsus thukuhar (Owen, 1839)(甲殻類:十脚目:イワガニ科) | 伊藤寿茂 | 神奈川自然誌資料,41:17-20. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 伊豆半島南東部で確認されたミナミアシハラガニPseudohelice subquadrata (Dana, 1851) | 伊藤寿茂 | Cancer,29:49-52. | 論文(オープンアクセス) |
教科書 | 相模湾で採集された北限記録のフタハベニツケモドキThalamita admete(軟甲綱:十脚目:ワタリガニ科) | 伊藤寿茂・駒井智幸・山川宇宙 | Kuroshio Biosphere, 18 (2): 19-28. | 論文(オープンアクセス) |
参考書 | 見る目が変わる博物館の楽しみ方 | 矢野興一 編著 | ベレ出版 | 2,800+税 |
参考書 | 放課後博物館へようこそ | 浜口哲一 | 地人書館 | 1,800+税 |
参考書 | 相模湾動物誌 | 国立科学博物館 編 | 東海大学出版会 | 3,200+税 |
参考書 | 日本海の成立 | 西村三郎 | 築地書館 | 1,900円+税 |